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“青年”(バリトン)=なぜ“オルフェ”?〔その3〕 [登場人物]

〔その2 からつづく〕

ギリシャ神話では、死の国に行ってしまうのは妻。オルペリス(オルフェ)自身は彼女を連れ戻しに行く立場であって、あくまで“生”に属する存在です。

『ヒロシマのオルフェ』で「青年」の恋人となる娘の正体は、死の国から派遣されてきた「死の娘」。彼女はたしかに“死”に属する存在です。

いっぽう「青年」は、第四場の終わりになって銃殺されますが、続く第五場で「死の娘」は、彼を死の国に連れてゆくという彼女の務めを翻す決心をします。暗黒世界の合唱団に「裏切り者!」となじられながらも、彼女は自身が属する暗黒世界の掟を破り「この人を現実世界に残して帰るの」と言い放ちます。

この彼女のはからいにより、第六場になると「青年」はまだ現実世界に生きています。そして彼は、“人間の勇気につながる”、“未来にかけて意味がある”行為として、手術台に横たわることを選ぶのです。
その手術が成功するのか(または手術を装って再度死の国の手に落ちるのか)、その結末は…台本も音楽も最後まで明示せずに、全曲の幕が降ります。

〔その4 につづく〕

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